eSIM.me を Windows 11 の LPA で使用する
このページに来られた方々は既にいろいろとご存じのことだと思われますので、まずは結論から。ふたつあります。
- 「MBIM モードで接続可能な eSIM 対応通信モジュール」を増設すれば、着脱可能なカード型 eUICC である "eSIM.me" を Windows PC 上で制御できるようになります。
- 「MBIM モードで接続可能な eSIM 内蔵通信モジュール」を増設すれば、Windows PC を eSIM 対応機にすることができます。
増設と書きましたが、M.2 通信モジュールを変換アダプタに載せて Windows PC の USB ポートに挿してみただけです。
Windows に入っている LPA および設定アプリを用いて "eSIM.me" に対してそれらの操作を行うことができることを確認しました。もし仮に TelcoVillage GmbH が "eSIM.me" のサービスを継続しないような事態になっても、これで安心ですね(そうなのか)。
実際に確認してみたこと
もろもろ試す前の Windows の設定画面がこちらです。セルラー通信モジュールなんて載せていないデスクトップ PC ですので、セルラー関係の表示がありません。
そして、こちらが上述の通信モジュールを増設した後の Windows の設定画面です。セルラーの設定メニューが登場していますね。"TelcoVillege1" と表示されていますが、おそらく空の状態の "eSIM.me" のブートプロファイルが見えているものと思われます。
その後、Ubigi の eSIM をダウンロードしてみました。特に問題なくダウンロードの手続きは成功し、ダウンロード後の eSIM が普通に表示されています。
今回使用したもの
Dell PC 用のこちらの通信モジュールを購入して試しました。商品の説明に "only for e-SIM Card" などと書かれていてちょっとあやしいですが、「eSIM 対応」と読んで問題なさそうです。
eSIM 対応は SIM2 カードスロットだけなのではと想像していましたが、SIM1 カードスロットに "eSIM.me" を装着しても問題なく使用できています。また、SIM2 カードスロットに "eSIM.me" を装着する必要があるものと考えていたのですが、なんと SIM2 として eSIM がこのモジュールに内蔵されていました。つまり、この通信モジュールさえ増設できれば、"eSIM.me" を持っていなくても Windows PC を eSIM 対応機にすることができます。
M.2 通信モジュールを USB 機器化するアダプタですが、SIM カードスロットがふたつ付いている下記のものを使用しました。上記の通り SIM2 カードスロットの利用が必要になるものと考えての選択でしたが、結局のところ SIM カードスロットがひとつの変換アダプタでも全然問題なかったということになります。
そしておなじみのカード型 eUICC、"eSIM.me" がこちらです。
通信モジュールを選ぶのは何故か(未解決)
期待通りに Windows の LPA を起動させられたのは、これまでのところ上記の通信モジュールひとつだけです。カード型 eUICC (eSIM.me) を認識できるもの、また AT+CSIM コマンドを用いて ISD-R を選択できるものも幾つか見つけたのですが、それらでは Windows の設定画面に eSIM 関連オプションを表示させることができません。モバイルブロードバンド関係のログをさらっと見る限りでは、Windows に ATR を提供できるかどうかがひとつポイントになってそうな感じはあります。
下記のログは上記の通信モジュールを使用時に取得したもので、"GetAtrInfo Succeeded" になっていることが確認できます。その他の通信モジュールで試したときには、これが軒並み "GetAtrInfo Failed" になっていました。
[Microsoft-Windows-wmbclass]Solicited response received with the following parameters: Caller Request Id: 0x182 Driver Request Id: 0 Service Id: {0000004a-588e-c2f6-37f0-c94b8665f4d4} Command Name: Kミ堵UICC_CID_ATR Command Id: 1 Device Status: 0(MBB_STATUS_SUCCESS) Ndis Status: 0x0(NT=STATUS_SUCCESS) Payload Length: 32 Payload: 0x17000000080000003B9F96803FC7828031E073FE211B57AA8660F0010011EE00 ... [Microsoft-Windows-WwanProtDim]INDICATION RECEIVED [Microsoft-Windows-WwanProtDim] StatusCode : NDIS_STATUS_WWAN_ATR_INFO (0x40041034) [Microsoft-Windows-WwanProtDim] RequestId : 0x182 [Microsoft-Windows-WwanProtDim] DataLength : 0x30 ... [Microsoft-Windows-WWAN-SVC-EVENTS]WWAN Service event: [Info] WwanNhTraceMsmNotification: [NH] Dispatch WwanNotificationSourceMsm\WwanMsmEventTypeAtrInfo AtrLength=23 Interface: {{c39392e1-770f-4d88-aa4b-d9d9aabc10f6}} ... [Microsoft-Windows-WWAN-SVC-EVENTS]WWAN Service event: [Info] CWwanUicc::onAtr: IsESIM 1 IsEnterpriseESIM 0 ReadyState 1 Interface: {{c39392e1-770f-4d88-aa4b-d9d9aabc10f6}} ... [Microsoft-Windows-WWAN-SVC-EVENTS][M:0][E:0][Req:0] ExecutorType(4(WWAN_INTF_TYPE_MBIM_1)) GetAtrInfo Succeeded
ちゃんと調べるためには MBIM の仕様書を読まないといけなさそうですので、それはまた暇になったときのための宿題にしようと思います。
過去の関連記事
本ブログにて最初に "eSIM.me" を取り上げたのは、下記の記事でした。
cheerio-the-bear.hatenablog.com
着脱可能なカード型 eUICC としては、ソフトバンク系の通信事業者で商用化されているものもおすすめです。こちらはいつまでサービスされるのかかなり疑問ですので、レア度が高くなるものと思われます。